準備編 現場準備 1土づくり 肥料・堆肥とは

 3月に入り気温も少しずつ上がってきましたね。
夏野菜の苗を自分で作る場合は2月の末くらいから種まきを始める時期です。
苗を作ることを「育苗」といいますが、野菜作りにおいて苗の出来は非常に重要で、生育や収量に大きな影響があります。
育苗についてこの連載ではお話しませんが、苗のよしあしがとても重要だということを認識しておいていただきたいと思います。苗を購入すると考えて、その場合に気をつけることや選び方などを後日お話したいと思います。

 ということで苗作りの次は、「土づくり」です。
一般的に、野菜作りを始める前に畑に肥料を入れて土づくり(施肥)をし、その後種まきや苗の植え付けを行います。
今回はその「肥料」のお話です。

 「肥料」というものが何か分かりにくい方もいらっしゃると思いますが、作物が育っていくための栄養分ということが出来ると思います。 
私たち人間と同じで作物も自分たちが成長するために、色々な栄養分を必要とするわけですから、作物にとって肥料とは、人間の食事と同じように考えることが出来ます。私たちが日頃食事をするときに色々なものをバランスよく食べることが大切ですが、作物も同じでバランスよく栄養分を与えてあげることが、とても重要です。

ですので、一口に「肥料」といっても色々なものがあります。

下の表に肥料となるものをあげてみました。

 

肥料になるもの
生のもの 鶏糞・油かす・魚粉・骨粉・汚泥・米ぬか・オカラなど
半生のもの 牛糞・豚糞・ボカシ肥料など
完熟のもの 完熟堆肥など

 
 堆肥とはいくつかの有機物を合わせて発酵させ、発酵することで働く微生物の活動によって有機物を分解したものです。

 

 発酵温度は、堆肥材料や作り方によってさまざまですが時には70℃以上の高温になることもあります。
「いくつかの有機物」というように、色々なものを原料として堆肥が作られています。
堆肥の原料になるものとしては、鶏糞、牛糞などの家畜糞、米ぬか、もみがら、ワラ、落ち葉、オカラ、木材(チップや剪定枝)、雑草などなど色々なものが堆肥材料として使われています。
 
 お気づきになった方がいらっしゃるかもしれませんが、堆肥材料の中には上の肥料一覧表に入っているものがあります。
堆肥というのは、未熟なもの(生の有機物)を発酵分解したもので、未熟なものを作物に直接与えるのとは、違った効果があります。
私たちの生活で例えると、堆肥にするということは、食材を料理するようなものです。
料理することで、さまざまな材料を組み合わせて栄養バランスがよくなりますし、熱を加えることで殺菌効果があり、
栄養素を安全に取り込むことが出来ます。堆肥も全く同じことが言えます。
また、堆肥の場合は微生物の活動で発酵分解されますから、有用な微生物が棲みついた堆肥で土づくりをすると
その後もそこに棲みついた微生物たちが、畑の土づくりに大いに活躍してくれます。

 このような理由から、私は堆肥を使っての土づくり、特に良質の堆肥を使うことに有効性を感じています。
ホームセンターに行けば、色々な肥料が売られています。
私があげたものはどれも有機肥料ですが、有機物を原料としない「化学肥料」も色々とおいてあります。
 化学肥料は、肥料成分としては分かりやすく、養分も即効性で早く効き、形態も粒状になっていたりして便利ですが、
長い目で見た土づくりという点では、やはり有機肥料をお勧めしたいと思います。
化学肥料と違って遅効性で養分が効いてくるまでに時間がかかりますし、生のものを施す場合はやり方によっては
作物にとって害になることもありますので、注意が必要です。
 次回は、そういった有機肥料の施し方や施す時期についてお話したいと思います。

 

つづき    準備編・現場準備2

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